Lipoの取扱について
電動機の今、最もホットなコンポーネンツは何と言ってもLipoだ。次々に新しい物が市場に投入されて活気を見せている。
ただし取扱を間違えると1セット1Dingo(YS160が1台買える金額と言う意味です)のLipoが1回のミスでお釈迦になったり最悪、発火させてしまう危険性があるので少し書いてみたいと思います。ただしLipoは世代が変わると取扱が変わってしまう場合があるのでまずはF3A用に良く使かわれている物からから書いていきたいと思います。また思い違いがあるかも知れませんのでその時は指摘をお願いします。
1.F3Aでよく使われるLipo
 Thunder Power TP5300-5S4PLV
 \44,800
 5300mmA 13C(連続)20C(バースト) 560g
 発売から2年以上、実績で選ぶならこのLipo、ライフタイムも長いようです。
 Thunder Power TP5000-10SX (10S)
 \79,275
 5000mmA 25C(連続)50C(バースト) 1198g
 10SパックでF3A用との事だがハイディスチャージタイプは避けた方が良いかも・・・・
 FlightPower EVO5350 F3A (5S×2)
 \67,935
 5350mmA 17C(連続)28C(バースト) 575g×2
 F3Aと言う名前ははだてじゃない? ただ今ユーザーが増えています。
 FlightPower EVO-LITE 5S1P 5350mmA
 ????
 5350mmA 17C(連続)28C(バースト) 500g(ウソ臭い)
 EVO-F3Aが選別品ならこちらは汎用品? まだ市場に出ていません・・・・
 Hyperion HP-LCL4200-5S
 \21,080
 4200mmA 16C(連続)22C(バースト) 475g
 値段が安く財布にやさしく、しかも軽いが容量が少なくもうすでにディスコン。
 Hyperion HP-LVX5000-5S
 \34,180
 5000mmA 25C(連続)40C(バースト) 642g
 FPのEVO30と同じセル? マッチングがイマイチでF3Aでは避けた方が良いかも。
 Hyperion HP-LCX5350-5S
 \27,180
 5350mmA 17C(連続)25C(バースト) 588g
 FPのEVO-LITEと同じセル? コストパフォーマンスは最高なので練習用にベスト。
他のカテゴリではハイディスチャージタイプのLipoが主流となっているがF3AではMAXで90A(3300W)が限界だと思う。地上で90Aをオーバーしてしまうとモーターがもたないので負荷を減らす必要がある。そのため最近のコンスタント25Cや30CのLipoは必要がない、5000mmA以上のLipoなら17〜20Cで十二分だと思う。
またハイディスチャージタイプのLipoは充電やバランス管理デリケートで(だと思う)、ライフタイムも短く(と思う)あまりお勧めできない。ちなみにFlightPowerのEVO-F3A、コストで選ぶならHyperionのHP-LCX5350-5Sで練習用がHyperion、本番用がFlightPowerと使い分けるのお勧めだ。ちなみに形状や重量もほとんど同じなので(セルが同じPQ社製だと思われるので)アタプタを用意する必要もない。
2.Lipoのナラシ
エンジンも買って来たらブレークインをするのが一般的だがLipoもやはりナラシが必要でライフタイムを大きく左右する(と思う)。最近の充電器ではサイクル充放電ができるが、かなり時間がかかるのと実際に飛ばしたほうがLipoが活性化されて良いような気がします。
そこでナラシ飛行の方法は・・・・
初期ナラシ
HyperionのEOS1210iがあれば満充電せずに90%位までにして2フライトほど飛行ナラシを行います。このフライトではスロットルを中スローよりは上には上げないようにします。今のスタント機は中スローでも十分に離陸するので問題はないと思います。またスプリットSでのターンも厳禁でスロットルは動かさないようにコンスタント放電を心がけて水平ターンのみにしてください。退屈ならナイフエッジ、ポイントロール、ノーバンク旋回などで時間をつぶしましょう。
初期のナラシはあまり放電しない事も重要で5〜6分でおろして下さい。そうするとCell-Meterで残量を測定すると50%前後の残量になると思いますがこれ以上は放電させない方が良いと思います。2フライト位行いましょう。
また着陸後の温度も人肌程度よりも上がらないようにして絶対40℃以上にならないようにしてください。まあ上記のような飛ばし方をすれば温度は上がりにくいとは思いますが、夏場で心配な場合は充電器で充放電を実施してください。
ナラシ中盤戦
この位になると離陸時に同じスロットル位置でもかなり元気良くなってきます。またHyperionのLipoでもバランスが良くなってきますが必ずバランス充電します。フルスロットルにしなければスプリットSのターンやループ系の演技もOKだと思います。残量は50〜40%位で着陸するようにして電圧があまり下がらないようにします。ただ着陸後の温度が40℃をオーバーしている場合は負荷をかけないようにします。こちらも2フライト位行えば良いと思います。またやはり90〜95%の充電率にして満充電にしないようにしてLipoに負担をかけないようにします。
仕上ナラシ
ここからは満充電でも良いと思いますがLipoのライフタイムを延ばそうと考えている人はやはり90〜95%でにしておきます。上空ではスポーツマンのパターンを2回ほど放電量が多くならないように演技のサイズが大きくならないようにフライトさせて着陸させます。着陸後の温度には十分注意してあまり熱くならないようなら次はP-07のパターンをやはり大きくならないようにやってみます。
このときの放電量が3500〜3700mmA位になるような飛ばし方をします。90%充電率で3600mmA使用するとCell-Meterで測定すると30〜40%の残量になります。あまりしっかり放電させないようにして2、3回同様に飛ばせは大体仕上がります。
FlightPowerやThunder PowerのLipoは比較的バランスが良く状態も良いのでここまで丁寧にナラシを行わなくても使えるようになると思いますがHyperionは十分に注意してナラシを行って下さい。どちらにしてもCell-Meterでの残量とバランスのチェック、Lipoの温度には注意が必要です。ちなみにCell-Meterでのチェックは着陸後すぐに行います。5分位経つと電圧は多少回復してバランスも整ってきてしまいます。温度は着陸後上ってくるので夏場はクーリングする必要があります。
3.ライフタイムの向上法?
Lipoには色々欠点があるがやはり1番痛いのが高価だと言う事でしかも初期投資にお金がかかるのでなるべく長く使いたいと言うのが人情です。そこで少しでも長く使えるようになるような使いかたを書いてみたいと思います。
過放電しない
Lipoは過放電でダメージを受けてしまいます。カットオフが設定できるアンプではMAX値にしましょう、それでもセル当り3.2V位が上限のようなのでオートカットがかかるまで飛ばしてしまうのご法度です。
Cell-Meterがあれば飛行後に必ず残量とバランスをチェックする事を習慣にして、充電する時も充電量を記録をしておくと良いと思います。
高温にしない
Lipoはやはり高温にも弱いので注意が必要です。モーターが過負荷になっていると流れすぎになりかなり熱くなってしまいます、またヒコーキ内の空気流が確保されないと熱がこもってしまうので何らかの方策が必要です。
夏場は着陸後内部熱が伝わって熱くなって来ますのでクーリングの必要があります。
満充電しない
Lipoでは満充電する事自体がダメージになるようです。そこでHyperionのEOS1210iで満充電せずに90〜95%位の充電率にして使うと良いようです。ギヤダウンでは65〜70A位しか流れないので無風時はフルパターンで3500〜4000mmA位しか使いませんが、ダイレクトで75〜80A流している場合は4500〜5000mmA位使ってしまいます。負荷を減らすかスロットルを開けないなど工夫が必要になります。
また満充電のままで長時間放置しない事も重要です。前の晩に充電する事はもちろんNGですが、充電後飛ばさなかったLipoはその日の内に放電します。
ナラシを行う
上記で書いたナラシを行う事でパワーも上がりますがライフタイムを延ばすのが目的です。かなりメンドイですが必ず行いましょう。
4.Lipoの取扱
Lipoをどう扱えば良いか飛行場でよく質問されます。ところがLipoはまだ発展途上にあり取扱にもまだ正論と言われる物がありません。とりあえず今の所トラブルが出ていないので自分なりの取扱を紹介します。
飛行後の再充電
Lipoをたくさん持っていれば1日に1回の充電で済みますが3セットで再充電して使いますが、その場合は飛行後クーリングするなどして30分位経つと気温と同じ位の温度まで下がりますので再充電を始めます。熱を持っている状態で充電してはいけないとはどこにも書かれてはいないが他のバッテリーではご法度になっているので冷ましてから充電した方が良いと思います。ちなみに2フライト目からは内部が活性化されているらしく飛びが良くなります。
Lipoの保管
残量が多いままLipoを保管すると劣化がしっかり進んでしまうのでなるべく放電させたい所ですがあまり放電させてもライフタイムが短くなってしまうので厄介です。
そこでいつものフライトサイクルの1週間から2週間位の保管なら飛行後そのままで保管します。Cell-Meterで10〜20%の残量でも問題ありません。F3A機ではあまりないと思いますがオートカットまで飛ばしてしまった場合は30〜40%位になるまで充電してください。
長期保存の場合は1ヶ月毎にチェックして残量が30〜40%位になるように充電して安全をみて20%以下にならないようにします、50%以上にはしない方が良いと思いますが1ヶ月毎のチェックがメンドイ場合は70%位にして保管しますが、劣化は覚悟してください。
再使用する時は上記のナラシのダイジェストを行い目を覚ましてやります。
ネットワーク充電と2C充電
F3Aでは10SでLipoを使うので本来は10Sパックを使い所ですがセルにトラブルが生じた場合は5Sが2本の方が被害が半分になりリスクの分散ができます。ところが別々に充電すると充電器のバラツキでマッチングが取れない可能性があるのでHyperionのEOS1210iのネットワーク充電は10Sで充電するのでかなり有効です。ただ問題はEOS1210iは180Wしか出力がないので10Sでは電流が3200mmA程しか流すことができないのがイマイチだ。
5000mmAで10Sのパックを2C充電するには昇圧回路のロスを加味すると500Wオーバーの出力を持つ充電器が必要になる、このような電力はかなり危険も伴うので将来的にもこのような充電器は出現しないと思うので2C充電は考えない方が良いと思う。