2重反転プロペラ電動F3A機と可変翼F3A機 |
【 2重反転プロペラ電動F3A機 】 めったに買わないRC Air WORLD誌だが4月号はかなり興味深いOK模型が開発している2重反転プロペラを装備した電動F3A機が載っていたのでついつい購入してしまった。そもそもこの出版会社は色々な分野の雑誌を発行していてグラビヤ写真が売りになっている。掲載されている写真は発色も良く明らかにデジカメで撮影された写真でも彩度が高く良い仕事をする印刷所で製本しているようだ。特に近年のペットブームで老舗の愛犬家雑誌に対して、やはりグラビア写真をメインにして犬種ごとにタイトルを分けてくるなど営業的に成功している。 そんななかでOK模型が試作したF3A機の「SeductionWCR」が目を引いた。目を引いたと言っても「?」の部分が多く、その設計思想は何を目指しているのか謎の部分が多すぎる。そこでその謎の部分を箇条書きにしてみてその目的を推測してみることにするがあまり詳しい事や思い違いもあると思うがその時は指摘をお願いします。 |
このメーカーはグローバルな営業展開をしているので、どちらかというと海外のフライヤーにも使ってもらいそこから世界選に出場した方が手っ取り早いと思う。 |
【 可変翼F3A機 】 その昔、伝説のワールドチャンピオンであるハンノ・プレトナ氏が君臨する前、あまりにも大胆かつ先進的なワールドチャンピオンが席巻していた。その名はブルーノ・ジーゼダンナー氏、氏が世界戦を勝ち取ったヒコーキはF3Aの世界選に引込脚を装備した「マラブ」を持ち込んで話題性と計算された綿密な戦術の飛行技術でまんまとチャンピオンカップを手にした(この戦術は機会が有ったらまたUPします)。その後F3A機は引込脚を装備するのが常識の時代に突入していく。 その次の大会では話題性を何よりも重視する氏は長い歴史を持つF3Aでも最も独創的なヒコーキを持ち込んだ。「サラマンダー」と名づけられたそのヒコーキは何とF-14Tomcatのような可変翼機だった。しかもループ系の演技ではほぼテーパー翼機と同様の平面形に遷移して行い、ロール系の演技では翼をかなり後退させほとんどデルタ機に近い平面形になるというユニークなもので、成績はあまりにも特殊なヒコーキだったのでイマイチだったが、このヒコーキで実際に世界選に出場して戦ったのだから驚嘆する。 |
後退させて翼を休める「サラマンダー」、この状態でロール系の演技を行った。重心はどのように移動させていたか今となっては永遠に不明となってしまった。
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ニードル調整を行う故ブルーノ・ジーゼダンナー氏、翼は普通のテーパー翼機と平面形は同じになる。メインギヤは胴体内に収納する構造になっている。 ※写真はラジコン技術1973年11月号より |
その年はあの吉岡氏がブルーエンジェルでワールドチャンピオンになった年でもある。その後ジーゼダンナー氏はプレトナ氏やマット氏の台頭によりチャンピオンの座に返咲くこともなかった。だがラジ技で見た「サラマンダー」は今でも脳裏に鮮明に焼きついて、そのカッコ良さにまだ子供だったのでその時はワクワクして自分も何時かこんなギミックを施したヒコーキで正確なスタントをやりたいと思い描いていた。ひょっとしたらその後、スタントに熱中するきっかけになった程のインパクトがあったのかもしれない。 日本でもその後、可変翼機は何機か製作されたが日本選手権はおろかスタント大会に出場できるレベルのものはとうとう出てこなかった。そしてジーゼダンナー氏はそれから数年後、この世を若くして去ってしまうと言うショッキングなニュースを耳にしてこのヒコーキが存在し世界選を実際に戦った事実のみが脳裏に残されるのみとなってしまった。 (2007/03/12 記) |