ラダーかエルロンか!
HOPE-25やモスキートモスのページでも書いたが以前のスピードスタントの頃からムサシノは独特のスタンスでユックリズムを貫いていた。ところが早朝の公園をフライトエリアに推奨したりしていたので危険だと言う事で当時は随分叩かれていたのを記憶している。
ともかく当時のスタントの師匠からラダー機の面白さを教えてもらいそれからはスタント機の他に必ずラダー機も用意していた。大阪時代はMKの本来はラダーオンリー機のタイガー10Yを3ch化して楽しんだ。Uターンしてからは入門した時に飛ばしていたスカイカンガルーをまた飛ばしたりOKのQB20Hをラダー機に改造して飛ばしていた。ムサシノのプレイリーも作ったが今では考えられないが素材機キットという事でほとんど板材と棒材だけのキットで製作がかなり大変だったが仲間にあっという間に持っていかれてしまった。しかたなく製作の簡単なMKのラッキー10を作ったがエルロン機はあまり面白くなく5フライト位でやはり仲間に譲ってしまった。
ラダー機でなければムサシノ機の低速性能は実現はできなかった。
ではなぜラダー機なのか? 答えは簡単だ低速ではヨー方向の制御を行えるのはラダーのみだからである。スタント機で着陸時にエアブレーキを効かせてエレベータで吊って機速を殺して進入した来たときや、エンストでぎりぎりの機速で飛行場までアプローチしてきた場合などヨー方向の修正を行う場合はエルロンで方向を換えようとするのは自殺行為だ。と言うのも、この時すでに翼は失速寸前の最大揚力を発生している迎角(むかえかく)になっていて推力に対して抗力、重力に対して揚力が微妙なバランスで飛行している状態だ。この状態でエルロンを操作したらどうなるかそれは非をみるよりもあきらかでダウン側は空気流の剥離を起し、あっという間にスティックを操作した方向とは逆方向に巻き込む翼端失速を誘発してしまう。
この現象はスタント機を例えで書いたが基本的にはどのヒコーキでも同じでクラークYを持つ高翼機でも同じ事で、モスキートモスやハミングカブのように人が早足し程度の速度で飛んでいる状態ではエルロンでは良好な操縦性を確保するのは困難だ。しかもアドバンズドヨーなどの現象も発生しやすいのでなおさらである。最近はEPP製のラダー機、ナイトメアを飛ばして楽しんでいるが面白いのは股くぐりでこれをやるにはエルロン機ではヨー方向の細かな制御がほとんど不可能だが、ラダー機ならば細かく方向が制御することができる。
平面形がしっかりテーパーのついた翼を持つスタント機ではエルロンはリニアに効き、さらにエクスポネンシャルをかけているので操舵感はしっとりとした感じだが、矩形翼のエルロンの利き方は独特で利き出しが敏感だが大舵角でもさほど利かないという逆エクスポネンシャルな特性でつい大舵を打ってしまうトレーナーなどの用途には最適だ。例えばムサシノのプレーリーL(エルロン仕様)はキチンとした旋回時の操舵、まず旋回方向にエルロンを打ちエレベータで下を向くのを起してやり、さらに旋回が終了したらアテ舵を打ち水平飛行に遷移するといった基本的なラジコン機の飛ばし方の流れを習得するには最適だと思う。安全にヒコーキが飛ばせるようになったら低空をユックリズムで楽しむにはやはり無印のプレイリーやモスキートモス、ハミングカブが最適だ。入門機が前記のようなラダー機でも良いとは思うが自立安定が良すぎ、しかも着陸などの低速時も失速しにくいのでアテ舵の習得が遅れたり、エルロン機に移行した時にいきなり着陸で翼端失速をさせてしまうかもしれないなど低翼機などにステップアップしにくく、独習でラジコン機の操縦を覚えたい人以外はばろの群長的には余りお勧めできない。
ラダー機は低速での操縦性もさることながらエルロンにはない独特な舵の利き方でエルロン機ではあっさりできてしまう演技もけっこうムズイので色々と楽しめる。ロールやインメルマンターン、キューバンエイトなどエルロン機ではほとんど何の工夫しなくてもできてしまうがラダー機はコツが必要だ。また特にムズくて面白いのが背面のまま場周飛行が一周できるとかなり嬉しい。さらにラダー機で検定会でスポーツマンに合格するのをこれからの命題にしていこうと思っている。ロールで入りロールで抜ける背面や2回ロールは限りなくムズイな〜(´д`; ) ともかく検定会に出るとなるとそれなりの大きな舵面をもつ専用機を作らないといけないと思うがそれもまた楽しい。

(2006/12/23 記)