バルブクリアランスは何ミリ?

今ではスタント機のパワーユニットとしては電動が少しその牙城を崩しかけているがやはり4サイクルエンジンが主流になっている。4サイクルエンジンといってもYS以外は今のところ存在しないがやはり高出力、しかも耐久性も良好でさらに高い信頼性をも実現しているので今のところ他のブランドが入り込む余地はないと言って良いと思う。
4サイクルエンジンはバルブやタペットなどのかなり消耗しやすいメカの部分が2サイクルエンジンよりも多いはずなのだがユーザーがメンテナンス機会は少ない、特に2サイクルはスラストベアリングの交換というかなりほとんど完全分解に近いメンドい作業を行う必要があるのでクランクして引っかかりが感じられるようになると憂鬱になる。
4サイクルは構造上スラストベアリングが2サイクルよりも腐食しにくいのでかなりメンテナンスする機会は少ないがやはり問題になるのは複雑なメカを持つタペット部分のクリアランス調整は必須の作業になる。ただ調整なので2サイクルのベアリング交換に比べると飛行場でも気軽に行う事ができる。YSはバルブ構造がしっかりしている為かそのタペット調整も初期磨耗の調整が終わると100フライトは楽に無調整でいけてしまう。ちなみに今、板プラで使っているFZ-63は初期磨耗もなく今まで1度も調整した事がない。プライマススポーツから降ろした時にメーカーに送ったがその時が唯一の調整になっている。F.Airで使っていたSAITOのエンジンに比べると手持ち無沙汰なくらいだ。
そこでいつも疑問に思うのがバルブクリアランスの数値だ。ちなみにYSの取説には0〜0.1mmと何ともアバウトな値が書いてあるが新品やメンテナンス上がりのエンジンでは基本的にゼロクリアランスになっている。あまりにもピッタリとバルブにアームがくっ付いている時はバルブが少し開いているかも知れないと心配になって再調整している。
ちなみにOSは30クラスから120クラス、SAITOでは現行では40クラスから220クラスと幅広くラインナップしているがバルブクリアランスは申合せたように0.04〜0.06mmとの事だ。OSは×4、SAITOでは×5.5の排気量をも持つエンジンが同じクリアランスと言うのは何とも奇妙に感じてしまう。
ちなみにシリンダとロッドの熱膨張は明らかにアルミ製のシリンダ、特に最近はインナーメッキタイプも小型エンジンでは多くなってきたし、ENYA製以外は直接風の当るフロントギヤタイプなので鋼製のロッドはほとんど熱膨張は無いと思う。なのでYSの様にゼロクリアランスでもシリンダが熱くなってくるとバルブの間隙が広がってくるはずである。
ガタイが大きくなればそれだけ膨張量が多くなると思うのだがすべてのエンジンがひと括りというのはいかがな物かと思う。案外アバウトでもオッケイなのかも知れないがバルブが開くタイミングが遅れればパワーダウンにつながると思うのでやはりキッチリと調整した方が良いと思う。できればパワーを最大限に引き出すにはゼロクリアランスがベストだが安全をみて若干(0.01〜0.02mm位)開けておいた方が良いかも知れない。
メーカーによってエンジンには厚みゲージが付属してくるが個人的にはあまりお勧めはできない。バルブが動くので案外正確にはセットができていない場合が多いと思う、やはりアームを自分の指の感覚でチェックした方が良いと思う。案外人間の感覚はかなり正確で0.02mm位なら鈍感なばろの群長でも判別する事ができる。案外この作業をサボっている人がいて0.10mm以上開いている場合があるがゲージを探してきて・・・・バルブとアームの間に入れて・・・・なかなかうまくいかない・・・・なんてやっていると少し億劫になってしまうので自分の指の感覚を信じて調整していると案外楽にできるのでYSの場合はあまりカバーを外すとパッキンが痛んで圧力漏れになるのでお勧めはできないがその他のエンジンはこまめにチェックを心がけよう。

(2006/03/14 記)