日本選手権を見学して

今以上にスタントに夢中になっていた20代の前半、日本選手権は千葉の自衛隊の基地内で行われていたので一般人はなかなか見学に行く事はできなかった。ところが最近は一般の飛行場で行われるようになり開かれた大会になり見学にも気軽に行くことができるようになり、ますますスタントの門戸が開かれて裾野が広がるのではないかと思う。逆に厳粛性がなくなると言う声もあるが・・・・
今回見学しての雑感をメモ書き程度だがテーマ別に少し書いてみたいと思う。

電動機
今回からいよいよ電動機が出場した。本来F3Aはエンジン機のカテゴリになるが電動機の急激の発展によりこのカテゴリの進出してきた。だが実際にはまだエンジン機のように完全に用いるアイテムや方法論が確立されていないので不利な点が幾つかあった。
そのひとつがプロペラで現状ではAPCで用意されているこのクラスのものは明らかにピッチが少なくて上昇力はあるがエンジン機のように機速にのらないので修正舵が判りやすくクセも出やすい。また演技も機速がないので小ぶりにしないとタイムオーバーの可能性もある。まだハンディーになってしまう事があるので今しばらくはエンジン機優位が続くような気がする。
また騒音面でもギヤダウンではエンジン機に場面によっては負けてしまっているとも思えた。今大会でも数機、実に良い排気音を造りだしいる選手がいた。高音のない低い音で心地良い音を引出すことに成功していてた。それに比べギヤダウンの電動機は実にカンにさわる高音が出ていてこの音は生理的にもかなり不快で音圧(dB)以上にノイズという事が感じられた。
また重量も規定で5kg以内となっているがこれも重たいバッテリーを搭載する電動機には不利になる。軽量化に追われ機体を軽くする為に剛性を犠牲にするしかなく操舵性が犠牲になる。圧倒的に上昇力に優れる電動機は実際は5.5kg位あったほうがスワリが良くなるのでこの規定の撤廃を要望したいと思う。

ティーンエイジの進出
音田選手の演技は自分的には圧倒的だったと思う。ループは円で。ロールは軸が通っていて機軸さえも乱れる事はなかった。このスタントの前提が素人の目ではあるができていたのはこの選手だけだった。もう1人、北海道から参加していた選手も演技の形を正確に描くという事ではかなり鍛えられていてもう少し上位に行ってもいいじゃないかなと感じた。
現在のパターンは優劣がつけ易いように複雑化していて3舵とも操作しないといけない演技がかなりある。この手の演技はやはり若年の方が操りやすいと思う、頻繁に操舵が必要になるので円熟よりも直感力が必要な気がするのでこの手のパターンが続く限りティーンエイジが進出してきやすい環境だと思う。ただ競技会で勝つだけのために特化したフライトマシーンにはなってはほしくないと思う。

素人から見た演技
世界的なメーカーの多くをかかえ世界戦でも団体優勝するなど日本はトップレベルなので日本選手権でもかなり高いレベルの演技が見られると考えていた。事実ハードウェアの使いこなしはすごくて飛行時の静粛性やスロットルワークも目を見張る物があった。
ところが逆に?な面もあった。上の項目でも書いたスタントの基本と思われる演技の形だ。いきなり?と思ったのがキューバンエイトの交点だ。けっこう交点がずれている人が多かったがさらにほとんどの人の交点が90度になっていなかった。さらに上面でロールの入るループも正確な円を描いているのは音田選手だけだったのはあまりにも意外で、ターン演技の1/2ループや3/4ループはでもほとんどの人が縦長になっていた。
かなり以前になるがラジ技に伝説のチャンプ、プレトナ氏がメガネのレンズに演技の形を書いたスタント養成ギブスならぬスタント養成メガネ( ━@Д@)をしている写真が載っていた。笑い話にしかならなかったが、今の状況からすると真剣に考えないといけないのじゃないかな思えるくらいだ。

(2005/10/02 記)