推力とプロペラ
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最近はファンフライが盛んなせいかあちこちのサイトでエンジンの静止推力の測定結果が書かれている。ファンフライは垂直にホバリングをするというおおよそ実機では考えられない飛び方をするのでこの静止推力はけっこうプロペラの選定や機体重量の目安になる。ところが疑問に思うのは電動機のサイトにはこれまた良く静止推力がファンフライのホバリングのような特殊な飛び方をするわけでもないのによく出てくる。さらには推重比という静止推力と機体重量の比率があるらしい。(;?Д?) これがばろの群長を混乱させる数字で何の目安になるのだろうかという疑問だ。
思い浮かぶのは離陸時など速度が低くプロペラに負荷がかかっている時には少しは目安になるかもしれないが今の電動機はハーフスロットルでも軽々離陸するそうなので、昔の飛ぶのがやっとという時代ならともかく疑問は深まるばかりだ。
ここでおさらい、ヒコーキのプロペラは扇風機のように空気を送ってその反作用、つまり推力で進む物ではなく、船舶のスクリューと同じくプロペラのブレードが空気の中をネジのように進んでいくというのが現在の一般的な考え方だ。これは第一次大戦の頃のヒコーキまでは推力との考え方だったが第二次世界大戦の頃になると戦闘機などの飛行速度があがってきた時点でその考え方では矛盾が生じるという事で現在のような考え方となり、可変ピッチプロペラがその頃より発達してきた。
可変ピッチプロペラはその名の通りピッチが任意に変更が可能なのでエンジンにかかる負荷でピッチを変更できるので離陸時や巡航時、高速飛行と適切なピッチにすることができる。スタントの世界ではよくエアーブレーキとして使われていたが、ピッチをゼロにするとネジ切っていない物、つまりプロペラのダイヤを直径とした1枚の円盤と同じ作用をして恐ろしくブレーキが効いた。このことからもプロペラは高速で移動するヒコーキではじめて作用する物なので単純に地上で静止推力という数字を目安にするのはいかがなものかと元しょぼいスタント屋つい思ってしまう。
では前記の事をふまえるとラジコンのヒコーキの飛んでいる時の飛行速度は簡単に計算することができる事となる。(「プロペラ君」ももちろんこの考え方です)まずは前に飛ばしていたサイレントでちょっと計算してみましょうか。使う引数はプロペラのピッチとエンジンの回転数だけで簡単に出すことができる。
当時プロペラは13.5×12というAPCのプロペラを地上で9400rpm位で回していた。これが上空ではプロペラスリップとして10〜15%位の損失が出ると思われる、小さいプロペラだとこの値がさらに大きくなる。これとは別に地上ではヒコーキが静止しているのでプロペラに負荷がかかり回転が上がらず、上空に行くと今度は10〜15%程回転が上がる。ちょっと粗っぽいけどこの要素をプラマイゼロとしてしまいましょう。( ´∀`)
12(ピッチ)×0.0025(インチからkmへの換算)×9400(rpm)×60(分から時間へ換算)=169.2km/h
この約170km/hというスピードはそんなにデタラメな数字ではなくかなり精度をもった数字だと思う、この事からプロペラは空気を後に送ってその反作用で推力を発生する物ではなく、空気に対してネジのように作用してヒコーキを駆動いる物だと言うことが出来るのです。(・∀・)ノイイキッタYo!!!
(2003/04/23 記)