成家さんとサイレント

BRONCO、FOCUS、TRONと自作機ばかりでスタントを楽しんできたが、あるときその考えを改めなければいけない時が来た。
お盆休みに開かれるオールジャパンの地区予選会にTRONで出場しようと連休なので前日、練習していた時によりによってこんな時にスピンでエンスト、飛行場までのびて来なくて河原に不時着。不時着と言っても120のスタント機は飛行場以外に降りるということは大破を意味する。Σ(゚д゚lll)ガーン
やはり現場にいってみると見事にエンジンマウントが破損していて修理に手間がかかりそう、かといって予選会は明日だ。模型屋に駆込み相談するとアルミ製のラジアルマウントの在庫があるとのこと、現状の破損したマウントを鋸で切落として防火壁をポリエステルとガラスクロスで補強して夕方には何とか飛ぶようになった。
2日間に渡る予選会で驚いたのは石川のM氏のヒコーキだ。YSの120ACを積んだヒコーキはまるでジェット機の飛びだった。すざましいばかりの機速とどこまでもその速度で上昇していくエンジンパワーに驚いた。スピードスタントの頃をしのぐ勢いで水平飛行時はレシプロエンジンのはずがジェット機のようなキーンとう音までしていた。ただスピードがありすぎて演技の位置が遠かったので点は伸び悩んでいたが、そのインパクトは脳裏にしっかり焼きついた。(゚Å゚)ポカーン
それに比べると前日の事故で自分のヒコーキは別に変なクセが出た訳ではないが、明らかにエンジンマウントの強度不足によるバイブレーションによりパワーダウン、情けない結果となった。小さい演技で何とか飛ばしたが、審査員の総評で「一部の機体でエンジンの調整不足で演技が見栄えしない・・・・・云々」ああぁぁ・・・・・自分のことだぁ・・・・・(TдT) やっぱり自己流のヒコーキよりもジェット機のようにカッ飛ぶ空気抵抗の少ないヒコーキと言うことでその帰り道に模型屋さんに寄って

MKのサイレントとYSの120ACください。ゼーゼー(@_@)

と注文したのであった。( ゚Д゚)/ はて、どっかで聞いたことのあるような・・・・・

久々に引っ張り出してきて写真を撮ってみました。かなりホコリが積もっていたので掃除が大変でした。

サイレントのキットは当時のMKが持てる技術の粋を結集して製品化したとも言えるほどのすばらしい内容だったけど価格も10年以上前で7万円位したと思ったので今なら完成キットが買えるくらいの金額だ。
主翼と尾翼は平凡なリブ組だけどテーパーエルロン/エレベーターは成型済で、しかも後縁部はこれでもかとばかりに尖らしてありナイフのようだった。キャノピーから後の胴体上部はガラスクロスをサンドイッチした成型済のプランク材、ノーズブロック、垂直尾翼前縁、翼端ブロックなどのバルサブロックは機械加工で丸く成型してありプラモデルに近い感覚だった。もちろんバルサの材質もトップクラスで他のメーカーでは考えられない位上質の物が使われていた。
ばろの群長は生地完までは3〜4ヶ月位で形になったが、今回は気合を入れて塗りで行くことにしてマイクログラス張り、オールウレタンで仕上げたのでそれだけで半年くらいかかってしまった。ただ、なれない事はするもんじゃなく、軽量化のために下地を徹底的にサンディングしたらけっこう研ぎすぎてしまいピンホールの原因を作ってしまった。配色は当時、ルマンでジャガー(正確にはジャグア)が優勝したこともありその配色をモチーフにしてみた。ところがこの配色は失敗・・・・視認性が悪く、曇った日には姿勢が判らなくなる事が頻繁に・・・・(TдT)
さて期待の飛行性能は・・・・う〜ん、やっぱり普通でした。これといって機速があるわけでもなく・・・・引きも軽くできた割にそれほどぐんぐん上昇する訳でもなく・・・・平凡な性能、ただTRONよりはよく飛んだのでメインはサイレントの方になった。
フローティングマウントはMK製の黒いゴムのタイプを使っていたが、オイルでそのゴムが劣化するのが欠点。一度、その後ゴムが切れてしまい、振動でエンジンストップ、またまた場外着陸となったがTRONと違って損害軽微ですぐ修復できた。そんなこともあり、今度は別売のオイルでも劣化しないと言う売りの透明なウレタンゴム変えてみたがゴム質が硬いらしく防震効果もイマイチでエンジン音も大きくなってしまった。でも黒いゴムはメンテが大変なので我慢してウレタンゴムを使いつづけた・・・・
競技会での思い出としてはフタバ杯が小諸に来るというのでスタント仲間と出かけた。フタバ杯といえばハズレなしの景品(悪くてもフタバのポロシャツがもらえた)と成家さんが来てお話が聞けるので楽しみにしていた。当日は天気もよくてよい競技会日和になったけど出場するF3Aクラスの最後の方の出番となり、検定会や予選会と違ってほとんどプレッシャーもないのでほとんど暇していた。成家さんは審査員なのでお忙しそうだったが「ちょっと飽きたねぇー」と言ってけっこう飛行場をフラフラ歩き回られて顔見知りの人と話をよくされていた。そんな時、そろってサイレントで出場したばろの群長グループの所にも寄っていただいた。そこで「3人ともサイレントですよ」と言うと、ばろの群長機を見て「これボクのヒコーキ(たぶん「ボクの設計したヒコーキ」と言う意味で言われたのだと思う)・・・・いやだなぁ・・・・はははぁ・・・・」と言われた、とても人懐っこい感じの話し方で記念撮影も快く承諾していただき、ばろの群長がVサインを出したら成家さんも「ぶぃ〜」と言ってやっぱりVサインをしてくれた。嬉しかったっす。ヽ(^Д^)ノ
ところがいざ出番となると風が強くなってきてしまいこりゃ〜ヤバイな〜という感じになった。エンジンをスタートさせて位置につき「よろしくお願いしまぁ〜す!」と審査員に挨拶すると、何と成家さんが「ガンバッ」と返してくれた。初めってっす、競技会で挨拶を返してくれた人は、嬉しくなってちょっと舞い上がってしまった。演技は風もあった事でスロースタントを身上とするばろの群長はかなりイマイチで、着陸後また審査員に「ありがとうございましたぁ〜」とお礼をするとまた成家さんが2、3回うなずいて「うまかった、うまかった・・・・」と小さく拍手をしてくれた。またまた嬉しかったっす。ヽ(^Д^)ノ
 でも、採点表を見たら成家さんが一番キビシかった・・・・(TдT)
ほめてもらったのは強風での着陸だったようだ・・・・でも景品にお約束のシャツと燃料、シールなどをもらって満足して帰りましたが、やっぱり成家さんとお話ができたことがいちばん思い出になった日でした。